企画者:前田 稔(東京学芸大学)
司会者:坂本 旬(法政大学)
野口 武悟(専修大学)
報告者:上松恵理子(武蔵野学院大学)
高橋恵美子(日本図書館協会学校図書館部会)
斎藤 俊則(日本教育大学院大学)
藤井 健志(日本教育大学協会 学校図書館部門代表、
東京学芸大学 理事・副学長・附属図書館長)
概要:昨年度の日本教育学会ラウンドテーブルでは、ユネスコが公表している『教師のためのメディア・情報リテラシーカリキュラム』(Media and information literacy curriculum for teachers 以下 MIL)をテーマに活発な意見交換が行われた。MIL が思想・表現の自由を基点として展開されている点や、学校図書館との関連性についての報告の後、日本の教育界の現状では、ユネスコが目指す理念と不整合が生じているのではないか、という問題意識へと転換していった。
MIL で は、12 種類のリテラシー:Media literacy, Information literacy, Freedom of expression and information literacy, Library literacy, News literacy, Computer literacy Internet literacy, Digital literacy, Cinema literacy, Games literacy, Television literacy, Advertising literacy を包摂した教育が展開されることが目指されている。しかしながら、それぞれのリテラシー概念を、日本の各分野での理解に照らし合わせた場合、必ずしも、クリティカルシンキングをベースとするものではなく、むしろ、機械の操作方法の習得や図書館の利用指導の文脈で MIL が理解される可能性があることが今後の課題となった。
今年度のラウンドテーブルでは、多様な分野の参加者が集う、日本教育学会の特色を生かし、メディア情報リテラシーの歴史的展開、学校図書館を軸にしたリテラシー概念への理解、情報教育の側面からみたリテラシー概念の多義性についてそれぞれ報告を得る。その後、日本の教育界が今後展開していくべき、リテラシー教育の本質について、参加者全員での議論を深めることが期待される。
学会についての詳細は下記ウェブサイトをご覧ください。http://www.jera72.jp/program.html