グローバルMILウィーク2020
根拠
すべての国と国際開発コミュニティは、偽情報の脅威を認識しています。世界は、コロナ禍の危機に際して新たな偽情報の波に直面しています。誤情報は、公衆衛生へのリスクをあおります。それはまた、ジェンダー・バイアス、不平等、あらゆる形態の社会経済的分断など、関連する課題を拡大します。誤情報は、社会政治的な二極化を助長し、人種差別主義者や反移民の分断、「私たちは彼らに対抗する」根拠をもたらし、コロナ禍という危機への世界的な対応をさらに複雑にしています。すなわち、情報と知識の分裂と相まって、誤情報は、持続可能な開発目標(SDGs)とすべての人の基本的人権の達成を脅かしているのです。
メディア情報リテラシー(MIL)は、これらの課題に対処するのに役立ちます。MILは、情報の受け手であるすべての人に力を与えることを目的としています。人々が情報と誤情報を区別し、事実と情報に基づいた意見について信頼できる情報源をどこでどのように見つけられるか、また、なぜ検証されていないコンテンツを流通させないことが重要なのかを知ることができるようになるためには、メディア情報リテラシーは不可欠な能力です。
これは、生死に関わる問題です。とりわけコロナ禍の危機に際して、この問題は非常に重要です。より広く考えると、MILは、情報、コミュニケーション、テクノロジーの能力を向上させることで、ガバナンスへの人々の参加と持続可能な開発全般を向上させます。また、MILの発達は、誤情報に対する長期的かつ体系的な政策対応を提供するものです。MILは国家レベルおよび制度レベルでの公共政策を求めており、ユネスコの「教育の未来」に関する考え方に対応するものです。MILは、複雑な世界において教育がどのように再考されるべきか、その本質的な視点を提供しています。MILは、偽情報による混乱に際して、教育政策と教育実践の両方のための新しいビジョンと方略の一部を形成しています。
これは、デジタル時代には不可欠なものです。技術の進歩、データ駆動型のビジネスモデル、メディアの発展、そして情報の爆発的な増大は、情報とメディア・コンテンツの生産と消費の関係をシフトさせてきました。新しいテクノロジーは、誰もが声を持つ機会を与えてくれました。一方で、それらは誤情報を拡大し、プライバシーやデータの乱用を可能にし、人々の操作や社会の二極化を助長しています。MILは、ソーシャル・メディアや新たな技術を介して、市民的・社会的運動の新たな方法に関わる若者たちの現実に対応しているだけでなく、メディア、技術関連団体、国際開発コミュニティが誤情報による課題に対処するために行動できる重要な手段なのです。
特筆すべきは、MILに新たなステークホルダーが現れ、歴史的に異なる役割が融合しつつあることです。技術関連団体やメディア規制当局は、NGOや教育機関、図書館などの伝統的なプレーヤーとともに、MILの開発を支援し始めています。
私たちは個人、集団、機関のいずれであっても、情報やメディア、技術の環境が絡み合いつつも、メッセージ、価値観、創造の可能性を持っています。私たちの総力を結集し、デジタル問題解決の積極的な創造者となる可能性があるからこそ、私たちは誤情報に取り組み、可能性と包摂性のある開発を進めることができるのです。
グローバルMILウィーク2020のテーマ「偽情報への抵抗:すべての人のための、そしてすべての人によるメディア情報リテラシー」は、今日のコミュニケーション、テクノロジー、情報の世界における機会とリスクに対処するために、すべての人の能力の向上をテーマとして、いかにして誤情報と格差に対応すべきという問題に焦点を当てます。
このようにして、MILはグローバル・シチズンシップ教育とともに、社会で批判的思考を持つ市民として関わるための知識、スキル、価値観、実践を市民に提供することで、SDGsの達成に向けた前進を支援することができます。これらの能力は、メディア発展への関与、すべての人のための情報と知識へのアクセス、表現の自由への参加のために市民に力を与えることができます。これらはすべて、偽情報とのたたかいにいかにして勝つかということと関係しているのです。
SDG第16目標のターゲット10「情報への公共アクセスと基本的自由の保障」は、民主的で、平和的で、包摂的で、公正な社会の構築に貢献することを目的としており、MILと直接関係しています。また、SDG4のターゲット7「すべての学習者が持続可能な開発を推進するための知識とスキルを獲得する」にも貢献しています。これらはすべて、コロナ・パンデミックとその悲惨な影響、すなわち現在の「ディスインフォデミック(偽情報パンデミック)」の原動力となっている大規模な偽情報によって破壊されようとしています。
このような背景のもと、グローバルMILウィーク2020は、関連諸団体が、MILによって、情報と思想の自由な流れを促進し、偽情報に対応し、分断に抵抗し、権利を尊重する社会の結束と団結を構築するために必要な知識をどのように育成できるかに注目しています。