『ユネスコ 教科書調査と教科書改訂ガイドブック 第2版』(2010) 日本では政権党が「「多くの教科書に自虐史観に立つなど問題となる記述がある」といった報告書を提出するといった、教科書への政治的批判がなされることが多いが、ユネスコは教科書を国際理解のための教育の道具として見なし、国際協力による教科書編纂を支援する。本報告書には民間団体が主導する日本と韓国の研究者による歴史教科書編纂の動向も紹介しつつ、デジタル時代の教科書のあり方を考察している。
本書の前書きには「質の高い教育が、紛争下または紛争後の教育に影響をもたらす」と述べられており、こうしたユネスコの考え方は、今日の日本の「教科書の自虐史観批判」や「デジタル教科書」論議に一つの方向性を示唆するものと思われる。
