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急速に進展する情報化社会において、メディア情報リテラシー教育の必要と、重要性がますます高まってきています。携帯電話の爆発的普及でインターネットへのアクセスが容易になり、押し寄せる「情報」を子ども自ら主体的に読み解き、活用できる力(リテラシー)の育成が大きな課題となっています。ユネスコを中心に、世界中がメディア教育とメディアリテラシーの重要性を唱え、啓蒙活動や教育に取り組んでいますが、日本ではメディア情報リテラシー教育の目的や意義が真に理解されているとは言い難い状況です。

日本では2005年頃から携帯電話の普及と比例するように、中高生の間で「ネットいじめ」が蔓延、「学校裏サイト」や「出会い系サイト」で子どもたちが次々と犯罪に巻き込まれ、社会問題化しました。禁止論が先行する中、思春期の特性とも言うべき「ケータイ依存」の問題にも効果的な処方箋を出せないまま、2012年頃からは急速にスマートフォンへと移行しはじめています。爆発的な人気を得ている無料のメッセージアプリやSNSは、閉じた友達世界をバーチャル化させ、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションの在り方や形態そのものを変えようとしています。使い方によっては非常に便利なツールですが、一歩間違うと24時間いつでもどこでも「友達」であることを強要し、画面上の些細な行き違いで友達不信を募らせ、孤立感を深めることにもなりかねません。ある調査によれば、本来、自立の一過程として「友達依存」になるべき思春期に、「親依存」の傾向が強まっているという新たな現象さえ生み出しています。

メディア情報リテラシー教育によって、世界人権宣言第19条にある「すべて人は、意見及び表現の自由に対する権利を有する。この権利は、干渉を受けることなく自己の意見をもつ自由並びにあらゆる手段により、また、国境を越えると否とにかかわりなく、情報及び思想を求め、受け、及び伝える自由を含む」という現代社会を生きる上で必須のリテラシーを獲得することができます。メディア情報リテラシー教育は子どもたちだけでなく、ネット時代を生きるすべての人々にとっての「基本的人権」であり、「不可欠な道具」であり「生涯学習」そのものなのです。日本だけにとどまらず、アジア全域の子どもたち、人々ともさまざまな交流をしながら、本法人がメディア情報リテラシー教育の理念や実践プログラムを共有、進展させていくこと願ってやみません。