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2017/01/02

メディア教育についてのグリュンバルト宣言

Tweet ThisSend to Facebook | by sakamoto
メディア教育についてのグリュンバルト宣言

 この宣言は、1982年にドイツのグリュンバルトで開催された、ユネスコによるメディア教育国際シンポジウムに参加する19の国の代表によって満場一致で採択されたものです。メディア教育に携わる教職員が引用したり、参照できるよう、メディア教育に関する文書を、合理的で正当性があり、わかりやすいように配慮してここにまとめたものです。

 私たちはいたるところにメディアが存在する世界に生きています。つまり、多くの時間をさいてテレビを見、新聞や雑誌を読み、レコードを演奏し、ラジオを聞く人々の数はますます増えているのです。いくつかの国では、子どもたちは、すでに学校で過ごす時間よりも多くの時間をテレビを見て過ごしています。

 私たちは、疑う余地のないほどの力を持つメディアを、非難したり、賞賛するよりもむしろ、一つの確かな事実として、世界を覆うメディアの持つ大きなインパクトや浸透力を受け入れなければなりません。そして、今日の世界における文化の一要素として、その重要性を認める必要があります。発達過程におけるコミュニケーションとメディアの役割や社会への市民の積極的な参加のための道具としてのメディアの機能を過小評価すべきではありません。政治および教育制度は、市民がコミュニケーション現象に対する批判的理解を促進する義務を認識する必要があります。

 残念なことに、ほとんどのインフォーマルおよびノンフォーマルな教育制度においては、メディア教育やコミュニケーションのための教育をほとんど促進していません。往々にして、それらの制度がもたらす教育経験と人々が暮らす現実世界とのギャップは非常に大きいのです。しかしながら、現時点で、メディア教育を責任あるシティズンシップを育てるための一つの準備として議論することが難しいとしても、近い将来、衛星放送や双方向のケーブルテレビ、データ放送システム、ビデオカセットやディスクなどのコミュニケーション技術の発展とともに、これらの発展から生じるメディア消費における選択の度合いが増えてくると、その議論は避けられなくなるでしょう。責任ある教育者ならば、これらの発展を無視したりはしません。きっと急激な双方向コミュニケーションやそれらを理解し、引き続き起こるであろうパーソナル化と情報へのアクセスの発達の意味が理解できるよう、自分の児童生徒へ寄り添っていくことでしょう。

 これは、マスメディアによる文化間の情報と思想の流通がもらたす文化的アイデンティティへの衝撃を過小評価するものではありません。

 学校と家庭は、青少年が強力な映像、言葉、そして音の世界に生きるための準備に対する責任を共有します。子どもと大人は,これら3つの記号体系のリテラシーを身につける必要があり、そのためには教育における優先順位をある程度再考する必要があるでしょう。それによって、言語とコミュニケーションの教育を統合するアプローチにいたるかもしれません。

 保護者、教職員、メディア関係者、政策担当者、そのすべての人が、視聴者や読者がより高い批判的意識を持つために果たしうる役割を認識するとき、メディア教育はもっとも力を発揮するのです。教育とコミュニケーションシステムを統合すればするほど、疑いなく、より効果的な教育へと向かっていくことができる重要なステップとなるでしょう。

したがって、私たちは関係諸機関に次のことを求めます。

1. 就学前教育から大学教育、そして成人教育にいたるまで、包括的なメディア教育プログラムを開始し、支援すること。その目的は、批判意識の覚醒、すなわち、電子メディアと伝統的メディアの利用者としてのより高いコンピテンスの成長を高め、知識、スキル、態度を発達させることです。 理想を言えば、このメディア教育プログラムには、メディア制作物の分析、創造的表現の手段としてのメディアの活用、利用可能なメディア発信手段の効果的な利用と参加が含まれていなければなりません。

2.教職員や関係者のための研修コースを開発し、知識の向上とメディアへの理解を高めるとともに、多くの児童生徒がすでに持っている大量の、しかしバラバラな知識に対して考慮された、適切な教育方法で研修を受けさせること。

3.メディア教育のために、心理学、社会学、コミュニケーション学といった領域からの研究を奨励し、活動の展開を行うこと。

4.メディア教育に関する国際協力を促進するために、ユネスコによって実施もしくは予定される運動を支援し、強化すること。

グリュンバルト、ドイツ連邦共和国、1982年1月22日
原文はこちら

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